第11期会長 中嶋哲彦 就任時の挨拶
2023年5月に行われた役員選挙で、第11期の会長に選出していただきました。ありがとうございます。私には荷が勝ちすぎた大役でありますが、第10期に引き続き務めさせていただきます。よろしくお願いします。
第10期の3年間、新型コロナウイルス感染症の蔓延により、本学会の活動も大きな制約を受けました。今年7月、鹿児島大学を会場に対面方式による大会を開催しましたが、じつに4年ぶりの再会でした。出口英樹委員長をはじめとする実行委員会の皆様のご尽力のおかげで、対面での研究交流の良さをあらためて実感できました。
他方、学会運営に必要な諸会議も、この3年間はほぼすべてオンラインで開催しました。当初はオンライン会議への戸惑いや不安もありましたが、私たちがこの3年間の経験から得たものも大きかったと思います。たとえば、毎年5回程度開催する常任理事会をZoomで行うことにより、参加者の負担を軽減するとともに、開催経費を大幅に節約することもできました。これらは今後の学会運営のリソースとして活かしていきたいと思います。
第10期には、下記のような会則改正を行い、これまで曖昧だった点を明確化したほか、運営体制を整備しました。
①総会・理事会の審議事項、議決・成立の要件の明確化
②研究推進委員会の設置、関連規程の整備
③事務局長を理事以外からも選任可とした
④地方区理事の定数の算定方法の改善
⑤学生会員の明確化と学生会費引き下げ
また、編集委員会のご尽力で年報投稿・執筆要領等も改正することができました。
さて、第11期の活動はすでに始まっています。第11期常任理事会には比較的若い世代の方々に多く加わっていただきました。常任理事は選挙で選出された理事のなかからご就任いただくことになっていますので、この制約は受けざるをえませんが、あらゆる年代、あらゆる世代の会員がみな活躍できる学会にしていきたいと思います。研究は言うまでもなく、学会運営においても積極的なご参加をお願いいたします。
最後に、教育政策学研究のあり方について私見を一言。私は、教育政策は公権力を独占する国家が、その権力行使の一環として公教育を組織・ 管理する過程で編成する教育理念、教育制度、教育行政、そしてこれらを物質的に裏付ける教育財政の構造体であると捉えて、教育政策研究の基盤には現代資本主義国家論の研究が不可欠だと考えます。しかし、今日では、産業・経済における国際的地位の相対的低下や世界的規模での軍事的緊張の高まりのなかで、排外主義的社会意識や、多様性承認の拡大に反発する差別主義が台頭しています。これらも、子育て・教育そして教育政策を規定する社会意識として見落とすことはできないと思います。
(中嶋哲彦 ・ 愛知工業大学)